一隅を一切とせり石蕗の花/和田悟朗

頼りない日差しに強い北風が吹き渡る。
木々は葉を落とし、花というものをすっか
り忘れたような日々が訪れる。冬めく景色
の中で、鮮やかな黄色の花は一所の日だま
りのように目に飛び込む。 キク科の多年草
である石蕗(つわぶき)の花が、艶やかな
緑の葉を広げ、凜々(りり)しく立ち上が
る。花言葉の一つには「困難に負けない」
この一隅こそ、選び尽くした唯一の場所な
のだと思わせる揺るぎない黄色がともる。

季のうた/土肥 あき子/愛媛新聞
今朝のつわぶき(自宅の庭)
ひと月前のつわぶき(自宅の庭)